ありがちですが、原稿を書くときはコーヒーやお茶、甘味が欲しくなります。
アイデアは水蒸気、原稿は雲。体の中が熱くなってアイデアがふわふわと沸く。そのアイデアを固めて形にするには冷やさなければならない。よって熱くなった体を冷やすものが欲しくなるのだそう。*
長年お世話になっている食の師匠に教わりました。
体は、頭や心の負担を軽くするための「食」を欲するようにできているのだと。
「『欲』もテーマも加えませんか」
食小説、お寺バー、というお題で企画を進める中で編集者さんに提案されたとき、そのことを思い出しました。
つらくてもつらいと言えない。平気なふりをしてしまう。そういう人でも食欲には素直、いや、抗えぬかと。
イライラ、不安、疲れ、怒り——心の奥に隠れている闇を食欲で見抜かれ、そして癒やされるというのはどうでしょう?
強欲な美人姉妹が仕切るお寺バーで。
欲と食の極楽、『バー極楽』</a>(KADOKAWA)が開店します。</p>
お酒の心地よい酔いを“ふんわり”と言い表しますが、お疲れ気味のお客様の心を、ふんわりと受け止める店を目指しました。
単行本は文芸カドカワ未掲載の最終章に加え、大幅に加筆修正を行いました。
バー極楽自慢の「原価激安・コスパ最高」のおつまみも大盛りです。
初来店の方はもちろん、連載時にいらしてくださった方にも、また新たに楽しんでいただけるかと。
ぜひ、お立ち寄りくださいませ。
美しき看板姉妹は、漫画家のはらだ先生が描いてくださいました。
裏側には、「欲と食の極楽」で物思う僧侶・照月も。
店の雰囲気も含めて、どれも作中で描いた以上に魅力的にしていただいて、感謝で手を合わせております。
小道具などもリアルに描いてくださっているので、読みながら見ていただけるとより楽しめると思います!
追記:『バー極楽』書評・レビューが掲載されました。→ Book Bang|ダ・ヴィンチニュース
*私は早くアイデアを出そうと、体が温まる白梅干を食べるので、余計に冷えるものを欲するのかもしれません