イメージコンサルタント探偵『イメコン』

もらえる・もらえない、選ばれる・選ばれない、許される、許されない——感じのいい人と悪い人は、生涯収入に3億円の差がつくという説があります。
その始まりがたった数ミリ、口角を上げたか下げたかの違いだとしたら。

表情や発声、立ち振る舞いを指導することで「人を感じよくする」スペシャリスト、イメージコンサルタントが探偵をつとめる小説を書きました。

小説「プライマリー・カラーズ」がきっかけでイメージ・コンサルタントという職業に興味を持ち、美容指南書をあれこれと読み始めたのが2011年の春。

「進級」を書いているときに東京創元社さんからお声掛けいただき、この小説を書くことになりました。
スケジュールの関係で何度かの中断を挟みましたが、ちょうど七年目の今年、何とか形になります。

発売に先駆けて、2月21日に行われた東京創元社2018年ラインアップ発表会に出席させていただきました。
『イメコン』の紹介代わりに質疑応答の一部を。

イメージ・コンサルタントの興味をもったきっかけはありますか?
またこの職業の魅力はなんでしょうか?

私は、物心ついたときからコンプレックスの固まりで、それを解消したくて、いろんな指導や、コンサルティングを受けてきたんですね。立ち方座り方、ボイストレーニングなんかを。
それで、指導を受けるたびに感じるのが、指導の先生はプロファイラーみたいだな、と。指導する種目は違っても、人が身につけているものや、姿勢、仕草なんかを見ただけで、その人の生活習慣や心境、コンプレックスなんかが分かってしまう。人間プロファイリング。魅力を感じたのは、そこでした。

書き手から見た、イメージ・コンサルタントという職業の魅力は?

小さな変化で大きな変化をもたらすところ。人を変えることは、その人の人生を変えることでもあるので。
自分の人生は自分で作っていける、変えられる。そのためのツールが、『給食』シリーズでは食だったわけですが、今作『イメコン』ではイメージ・コントロール、コンサルティングを通じて、人生を変えていく人々を描いています。

本作では、人生負け犬気味の男子高校生・武川直央(むかわ・なお)くんと、得体の知れないイケメンのイメージ・コンサルタント一色(いっしき)さんがコンビで活躍します。イケメンのイメコンとひきこもりの男子高校生、どっちが書いていて楽しいなどありましたか?

イケメンのイメコンを書いているときは、王子様テイストを盛っていくのが楽しかったですし、引きこもりの男子高校生を書いているときは、コンプレックスだらけの自分を投影していくという、暗い楽しみがありました。どちらも楽しかったです。

『イメコン』の読みどころをぜひ教えてください。

コンプレックスの陰に犯罪あり、という話です。
いま、コンプレックスのことを呪い、自分で自分にかける呪いと言ったりしますけど、イケメンのイメコンが王子様となって、クライアントや、相棒となる引きこもり男子を縛る呪いを解いてあげていくところも、読みどころではないかと思っております。
呪いを解くためのツールとして、一番伝わりやすい話のスピードや、貫禄をアップする方法などの、気軽に使えるイメージアップ技なんかも登場しますので、使えるお仕事小説かもしれません。

たくさんの方に、楽しんでいただけたら嬉しいです。皆さま、どうぞ、よろしくお願いいたします。

追記:
『イメコン』紹介記事が掲載されました。→ ダ・ヴィンチニュース