閉めきった窓が開くとき|実家じまい

早くも師走、大掃除の時期ですね。
私は自宅の大掃除は後回しで、実家じまいの準備中です。

両親ともに、もう自宅へは戻れそうになく。
ゆっくり片付けていくつもりでしたが、今はそうはいかないんですね。
家に荷物を残したまま空き家にしておくと、火事や泥棒のリスクが高いとか。

先日、実家の片付け2回目へ。妹と二人で1泊してきました。
妹いわく「地獄のお泊まり会」。

母が入院したあと、しばらくして父も入院しました。その間2カ月弱、父は一人暮らし。
で、まあ発見されたときとかもいろいろあって(濁す)。
実家が大変なことになっていたわけです。

1回目は100均で買ったビニールのレインコートとレインパンツとお風呂ブーツで武装しました。

「私たち、これで何もかも許されるよね!」

と吠えながら掃除しました。

2回目から片付けに入ったのですが、それはそれできつい。
私の実家、めちゃくちゃ物が多いんです。8畳の居間だけでハサミが数十本あるような家ですから。

一番しんどいのは、
片付けながら、両親の老いや、いろいろなヤバさ(濁す)を目の当たりにすること。

妹がいてくれて本当に助かっています。
夜、Uberで取ったピザを食べながら二人であれこれ言い合ってストレス発散しました。
地獄のピザパーティー!

助けられたといえば、実家のご近所の方々にも。
病院の相談員さん、地域包括センターの方々、ケアマネージャーさん、ケアセンターの担当者さんにも。

私も妹も実家とは距離を置いていました。
母が入院したと連絡を受けたとき、

「ああ、きっと『親不孝者』と怒られるか冷たい目で見られるんだろうな」

と覚悟しました。

でも上に書いた方皆さん、温かく私たちをいたわってくれました。

「無理する必要ないからね!」
「自分たち(妹と私)のことを一番に考えて」
「お気持ちは分かりますから」
「少しずつ手を離していくことを考えた方がいいですよ」

ご近所の方は昔から私たち家族を見ていた。
病院・介護関係の方々は、父と接するうちに、私たちがなぜ距離を置いたのか分かった、と。

それを聞いて、すごくほっとしました。


家族というのは密室のようなもので、中で起きていることは家族しか知りません。私の気持ちは妹と、あと数人——同じような経験をした人にしか分かってもらえない。ずっとそう思いながら生きてきました。

でもそうではなくて、見ている人は見てくれているし、機会さえあれば分かってもらえることだった。それが分かって孤独感が一気に和らぎました。
閉めきって空気が澱んだ部屋の窓がばーんと開いたような。そこに風が吹き込んで、空気が入れ替わっていくような感じです。今。

という感じで、大変な時期ではあるけれど、得るものも多いです。
写真:早朝、タクシーがなくて駅から実家まで歩きながら見た景色もその一つ。

だから負けずにがんばります!


今年も一年、ありがとうございました。
どうぞ、よいお年を。