カラの心を満たすもの

「ちゃんと書けてましたか?」

題材にした職業に実際に携わっている・いた方が作品を読んでくださると、そう尋ねたくなります。
鈴木涼美さんから戴いた書評(『波』12月号 掲載)を読むのも緊張しました。今回はとくに、ほぼ資料と想像で書いたからなおさら。

キャバクラが舞台だったり、キャバ嬢が登場する脚本を書いてはきたけれど、私が実際に営業中のキャバクラに行けたことは、実は一度しかありません。
今回の執筆にあたっては、編集者さんがアレンジしてくださった取材に、かなりの部分を助けてもらいました。

取材協力としてお名前を載せさせていただいたお二人は、ナイトビジネス界の人材派遣、デコレーションの第一人者。
お目にかかる前は勝手に、派手でハイテンションなパリピ的な方を想像していました(すみません)。でも実際にお目にかかると、お二人とも服装こそカジュアルですが、冷静沈着なビジネスマン。
そして話が面白い! ナイトビジネス事情はもちろん、合間の金言にも聞き入ってしまいました。

“大事にしてるのは裏側の仕組み。整理整頓、ものがどこにあって、全部準備されてるっていうオペレーションが僕は勝ちだと思ってて。仕組みで回していかないと”

キャバクラなどのナイトビジネスでシャンパンタワーや花、店内装飾を手がける会社、株式会社Gothamの西山社長の言葉。
インターネットで会社のことを知って、編集者さんに頼んで取材させていただきました。

“お金に執着するとナンバーワンにはなれない、ナンバーワンになるとお金がついてくる。トップキャストには留学、起業、美意識、プライドなど、何かしらお金以外の目標があり、金を惜しまず自己投資をして自分を磨く”

キャバクラ求人会社『姫リク』の松本社長は、ブログを読んだ編集者さんが「絶対面白いお話が聴けそう」と取材をアレンジしてくださいました。
大阪にいらっしゃるので、取材はスカイプで。

文字起こししてもらった取材テープ、編集者さんがまとめてくださった取材メモ。ナイトビジネス界のノンフィクションとしてだけでなくビジネス書としても、何度読み返しても面白いです。

やはり現場にいる方の言葉、リアリティーは強い……と思いつつ、『千のグラスを満たすには』、負けないように、感情面でのリアリティーを盛り込めるように精一杯書かせていただきました。

“自分の価値が上がる日常を生きるのは救いがあるが、価値が下がる日常は時に耐え難い。でもだからこそ仕事場としての魅力が強く人を惹きつけるのだ”

緊張しながら拝読した鈴木涼美さんの書評『カラの心を満たすもの』も、キャバクラ、キャストの光と影や、彼女たちを駆り立てるものを鋭く分析してくださっていて敬服しました。

『波』12月号 に掲載されているので(二度書く)、ぜひ読んでいただきたいです。

追記12/21:BookBangで読めるようになりました。
カラの心を満たすもの 遠藤彩見『千のグラスを満たすには』レビュー